東京高等裁判所 昭和49年(ツ)38号 判決
原判決によると、所論の点に関する原審の判断は次のとおりである。本件和解調書第四項に基づく解除権は、賃料が毎月払であることを前提とし、その支払いを三か月以上怠った場合に発生するのであるから、その前提条件に変更があった以上、民法の規定に従って契約解除することは格別、少くとも、右和解調書に基づく解除権発生の余地はないことになる。従って、右和解調書第四項による執行力は、もはや消滅しているから、他の争点について判断するまでもなく、これに基づく本件建物収去土地明渡の強制執行は不当である。原審の判断は以上のとおりである。思うに、賃貸借契約解除に関する特約条項は、仮りにその前提条件に変更があったとしても直ちに右条項の全部が無効に帰したものとするのは妥当を欠く解釈というべきであって、右の場合には右条項の前提条件の変更にともない、右変更に必要な限度で右条項に変更が加えられたものと解するのを相当とする。従って本件の場合和解調書第四項に賃料の支払いを三か月以上怠ったときとあるのは、一年以上怠ったときと変更されたものと解釈すれば十分であり、この程度の変更は、債務名義の同一性を害しないものというべきである。
(浅沼 加藤 園部逸)